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柘榴通信 其の1

 

 

 

 

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Noisician's  Essay
立島夕子

立島夕子の柘榴通信  其の2   

異色画家にしてパフォーマー。ジャパノイズ界の狂気の歌姫・立島夕子による、  待望の未発表・書き下ろしエッセイ、第二弾登場!                   このヘビーな内容に君はついていけるか?       NEW 

 
 

柘榴通信第二弾      

「立島夕子の柘榴通信 其の2 自殺勧告」 2003年5月6日、書。

去年の12月に私がフッた男が、4月29日未明、自殺予告 をした。

それ、は渋谷行きのバスの中での事だった。PHSのバイブ がうなる。着信を見ると元彼。フッた手前もう電話は取らない と決めていたのだが、何故かその時は猛烈に嫌な予感がした。 電話を取った。ほとんど聞き取れない、生気の抜けた声だった 。かろうじて聞こえたのは、「今までごめんなさい、束縛ばか りして」と、                         「これが遺言になるかもしれないから」。

私はバスを飛び降りた。

嫌いで別れたわけではなかった。ただ、恋愛感情がなくなっ てしまったから別れを言い渡した。元彼、Rの、私に対する嫉 妬心は凄まじかった。私は絵描きであり、だからと言って己に 才能があるとは思ってはおらず、ただ生きる渇望や執念で描き 続けているだけなのだが、Rは私が絵を描いている事実に劣等 感を感じ続け、「俺には何の才能もない」「俺には何もない」 「俺には何も出来ない」という台詞をまる1年繰り返した。「 何もしなくても生きてていいんだよ」と何万回伝えても聞いて くれなかった。Rは自分のコンプレックスを解消し、私より優位に立ちたいが為に、料理の苦手な私の為に飯を作り、胃がヤ ラレて文字通り血反吐を吐いてるのにも関わらず、私の体をマ ッサッージし続けた。「疲れているならいいのに」と言っても やめてくれなかった。確かに私もそんなRに甘えてはいた。R はIQ170の脳の持ち主で、私の知らない本や映画や知識を 膨大に覚えていて、私に次々にすすめた。それも多忙で本を読 む暇のない私には本当に苦痛だった。部屋が散らかりっぱなし で掃除もしない無精者の私とは言え、Rに勝手に部屋を片づけ られるのも拷問だった。

幸せだったのは付き合い始めた最初の2ヶ月だけで、あとの 1年弱は惨たんたる喧嘩の毎日で地獄だった。泣き過ぎで目頭 に皺が出来た。Rはどんどん狂っていった。私は尽くされて「 支配される事」に疲れ果てていた。このままでは二人とも死ん でしまうと察知した。人間としては愛せても、恋愛感情はすで にかすれきって枯れていた。だから訣別を告げた。

偶然にも、その3日後に、Rの母親が自殺未遂して植物人間 になった。Rの母の主治医は、「もう彼女は助からない」と告げた。

30分電話で話した。自殺勧告は脅しではないようだった。 声を聞いてわかった。5月の頭に決行すると言った。そして最 後に私に謝りたかったと告げた、謝られても、

自殺するのなら、それは私に対する最後の、最大の暴力では ないか!!!

もう何を説得してもRは死ぬ気まんまんだった。止められな かった、死んでゆく人間を止める事など誰にも出来ない・・・ 。

おおおおおお!!                                     「私のせいで」、人が、ひとり、死んでゆく!私が捨てた為に !今この瞬間もうRはこの世にいないかもしれないのだ。

私はもう死ねないではないか! 人殺しの業を背負って生きて ゆくしかないではないか!鬼になるという罰を受けて生きてゆ くしかないではないか!! 修羅の角を生やすしかないではない か! 何故「俺はプライベートを全部あんたに捧げてたんだよ!」 などと怒れるのですか!だから私がフッたのだとわからないの ですか?!貴方の中には「ユウコ」という引き出ししかないのですか?!! 

金を貯めたら私は首の後ろに真っ黒な十字架の刺青を入れよ うと思っている。私の罪と、罰と、Rという人間が確実にこの 世にいた事を忘れず、それでも生きる為に。私は生きる。生きて生きて罰を抱えて。

そしていつか思い切り笑う為に!!                         (2003.05.17UP)

 

立島夕子の妖しい世界にさらに足を踏み入れたい貴方に・・・・

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