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JABREC ART MUSIC

JABREC ART MUSICインタヴュー 』   

日韓の国境を、そしてインプロヴァイズド・ミュージックとアートの境を軽々と越境しながら自在に活動するJABREC ART MUSIC登場! 次に彼らがトランスボーダーしていくのは何?

 

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JABREC ART MUSIC・インタヴュー

インタヴュアー:伊藤まく

 

Q.JABREC ART MUSICの趣旨、結成の発端はどのようなものですか?

A. JABRECと名のりつつこの3年ぐらい、実験姿勢重視で即興演奏だけをやり続けてるけ ど、JABRECって組織としての特別な強い方針や理念は無いんですよ。一緒にやってく 仲間が出来て、対外的にもそれなりに動き出そうというんで、ひとつの箱を作ったと いうことです。ちょうど、CDRで自主制作が簡単に出来るようになったり、ネット での情報伝達や交流の可能性が進んできた時期で、JabのようにRecして発信し て行こうかというんでね。JABRECって、ちょっとしたシャレなんですけども。

ただ、そういいながらも、これは僕個人の指向からなんだけど、ArtとMusicの地続き の状態をイメージして、そこに常に居座っていこうという考えで、強引にArt Music をくっつけたんです。僕の場合、サウンドと造形表現の結線みたいなところに10年以 上関わってて、90年代は大掛かりな造形作品を作ってた時期がありまして。実際はArtとMusicが整合的にひとつのフィールドに繋がることはないんだけど、そこ でのギャップを意識していくつかの連絡路を繋いでいくこと、これは結構面白い作業 だと思ってます。あと、当時はあまり意識してなかったけど、この命名の発想に、好 きなユニットであるArt Ensenmble of Chicagoの影響はあるかもしれません。(90年代八木橋 Art works >>

Q.所属アーチストを紹介してください。それぞれの方が音楽を始められたきっかけは?

A. JABRECの正規加入アーティストは、実は八木橋司と佐藤行衛の2人だけ。しかも活動 における共通したビジョンもふたりとも持ってないし、音楽への好みもかなり違う。 まあ、それがよかったのか、ここまでいろいろやってこれました。

僕と佐藤行衛が最初会ったのが、1998年(だったか?)のハン・ベニンクの東京での ワークショップ。そこで、電子音の出るおもちゃや雑貨品をテーブルに並べて キュィーンとかやっていた人が彼だったんです。(この日、会場の床にビニールテー プを張って引き剥がすという演奏をした人の次にアート路線だった。)彼はロックバ ンドをやってて、ロックの視点でハン ベニンクとデレク ベィリーを捉えてたんで す。彼からするとこの2人のインプロバイザーは実にロック的に聞けるらしい。で、 結局彼はそのバンドの流れで韓国に住み出して今もそのままなんだけども、必然的に あっちとこっちを行き来して活動することになった訳です。JA.BREC的には国際交流推 進の基盤を得る結果になりました(佐藤さん感謝してますよ)。毎回エレキギターと雑 貨品や電子おもちゃを詰め込んだデカイ鞄をもって日韓を移動してる。あまりにグッ ズが多いんじゃないかと思って、今度のツアーは軽量化を計るべきだと提案したら、 小型のギターを買ったよね(爆)!ライブで持ってきたグッズの1/3も使って無いんだ が、その場でどれを使うか決まるので全部持って歩かないとならないとのこと。彼は ソウルで、アルフレッド ハルトや崔善培と交流するようになってて、実験音楽の表 現の現場を広げようとしてます。日本からも演奏家を積極的に招いていますよ。 ( Bulgasari in Seoul>>) 

僕の方はずっとアルトサックスを吹いてるんですけど、最初ジャズやってたとか、高 校時代ブラバンにいたとか言うんじゃなくて、いざ自分の表現をやろうとした(やれ る気がした)十代の終わりに、直感的にあってると思って始めた楽器がサックスだっ たんです。で、その自分の表現と言うのが即興表現だったということなんです。その あたりで、コルトレーンやアイラーとかやっと知ったんだけど、この延長でテーマの 決ったところをやらないでアドリブだけだったら、自分らにもやりようがある世界だ なと、漠然とその時思ったんですよ。(勿論同じには出来るわけないし、その必要も 無いんだけど。)

そしたら、そんな考えの連中がやってる音楽が既にいっぱいあるん だと、音楽学部の友人がハンやらデレクやらセシルやらアート アンサンブルやらを じゃんじゃん持ってきてね。おっ、これなら道はありそうだと、安心してサックスを 買いに行ったという訳です。こういう場合は安易な方がいいですよ。最初はテナーを 吹いてました。で、当時から美術志向の僕としては、それらの音楽は、これって抽象 表現主義絵画の音楽版だよな、ぐらいに聞こえて、ますます違和感が無かった。いろ いろやってきた今の方が違和感と言うか距離を確認できるようになったかもしれませ ん。現在、音響自動書記と言ってやってる表現は、自動書記とその際に発生するノイ ズでの即興演奏を同時に行うものなんですが、自然とこうした原点が僕の中で生き 残っちゃったみたいです。 ( 音響自動書記 >> )

Q.今までの活動のアウトラインを聞かせてください。

A. ここまでのJABRECでの活動は、振り返ると今後につなげられるいくつかの線は残せた 気はしますね。佐藤行衛と会ったハン ベニンクのワークショップで知り合った他の 演奏 家の何人かとも、その後演奏交流を継続しています。やってるうちにロックやフォー クの企画からも誘ってくれる人もあって、実験姿勢を崩さないタフな表現者たちとそ こでも知り合い、ずいぶん関係が広がってきました。JABREC発足当初は、佐藤と僕の デュオでの実験色の強い演奏と、ベースの永塚博之を加えたYEStrioでの活動が中 心でしたが、永塚氏とは昨年5月のハン ベニンクとのライブを最後に、お互い別の可 能性に向かうことにしました。佐藤も僕もそれぞれで個別の演奏家たちとの関係をも つようになってきてるんですが、それがまた妙なからみになってくといいなと期待し てます。バンド的な動きとしては、八木橋+佐藤+ベースのヒゴヒロシでのトリオ で、現在継続的な活動を行ってます。JABRECの枠からいうとこれが大きい軸になって きた感じです。

Q.どんな音や活動を目指しているのですか?

A. これらは答えるの難しいですよね。活動の方はまだ言いやすいけども。

まず、僕らだけじゃなくて多くの実験姿勢の表現者にとって、演奏する場所を発見し て行く、または作って行く、そこからが課題ですよね。80年代からどんどんメジャー の文化制覇が深まった結果、新たな進展をもたらすはずの実験表現(既存の価値基準 に依存しない主体的な対応を聴衆に要求するような)を生き延びさせる文化的柔軟性 が社会から失われ、独自の表現領域を意識すると、経済的にも精神的にもその個人が 大きくリスクを負って活動を維持しなくてはならないわけですよね。このあたり、21 世紀になって状況に曖昧さが無くなったよね。極わまったと言うか。みんな甘いこと を考えないレベルから始めてるから逆にわかりいいというか。演奏の場所を経営する 側も同じ問題を抱えてる。

で、この状況をリアルに最初から生きている世代が、80年代以降表現活動を始めた世 代で、70年代というものに関わった世代との間には幾分かのギャップがあると思う。 ある意味、現在ニッポンのこの現実を、表現者としてよりリアルに生きることが出来 るキャラと運命が、80年代以降の世代には自ずと備わってると思います。僕らには僕 らより上の世代とは基本的に異なるテーマの立て方があり得ると思ってます。この状況で の模索は表現の強度のマイナスとはならないだろうと思う。自分よりもっと若い表現 者と関わる時、このリアリティーをさらに強く感じることがあります。

音についてですが、僕の場合は、目標のようにして目指すべき音と言うのはほとんど 考えませんね。ほぼ全てが現場主義です。ただ、やっていると、こういう考えややり 方は可能だと言うイメージが浮かんで、それを実現するために目指すことはありま す。音響自動書記もそうしたところから始まって継続してますし、サックスの表現で も、今いくつかアイディアがありますね。やりたくなった時だけやるんで結果がどう のという考えはなくて、途中でやめちゃうこともある。やめちゃって何ヶ月かしてま た始めたり。

なにしろ僕らは即興アンサンブルがメインなんで、この場合一緒にやるメンバーとの 関係、融和的に動いたり離反したり、いろんなやり取りが自然発生し、その展開を生 き長らえさえ、やがて終わらせるための関係性というか、そこで起こる対話が最も重 要です。それに対する個人練習と言うものはないんですよね。

Q.SAXプレイヤーとしてのアイドルとかいるんでしょうか?

A. 最初、コルトレーンやドルフィーを聞いた時、初めて聞いたのに、ひどく懐かしい感 じがして何の違和感も無かったですね。僕はコルトレーンの遺作「Expressi on」は、音楽上の予言だとある時思ってからずっと同じ考えでいます。もし、コル トレーンがもっと生きていたら、あそこでやり始めた新たな可能性をエルビンたちと のカルッテットでやったぐらいのレベルで明確なものに高めたのかもしれないけど も、自分自身でも未だ可能性でしかない状況で死んでしまった。その結果、残された この可能性は不完全であるが故に、それを聞く人々に無限にどんな解釈をも許すもの となり、積極的にそれを表現に取り込み解釈しようとする者には、まさにそれは予言 の役割となるということです。芸術上の予言とはそう言うものだと思います。そんな わけで僕もこのアルバムの小さな引き出しが時々開くことがあります。まあ、特にコ ルトレーンだけ好きだと言うわけでもないんですよ。ドルフィーもコールマンもはや はり好きですね。最もCDを買っちゃったのは、セシル テイラーとピアソラですけ どね。セシルの初期ユニットのジミー ライオンズもかなり好きなサックスです。ま あ、僕の聞く音楽の好みは非常にオーソドックスで狭い範囲です。

Q.佐藤さんはギターをペダルスチールのように弾かれるのですか??

A. 佐藤行衛は、基本エレキギターはテーブルギターっちゅうあれですね。ギターやそれ を置いた台のいろんなところにピックアップマイクをつけたりして、独自のやり方を してるようですね。しかし、ギター以外の電子おもちゃ+雑貨の音がギターと違和感 無く一体的に扱われてます。これは、あくまでも僕の印象ですが、エレキギターの方 がこれら電子おもちゃと同列に扱われていると思えるような演奏?(普通に肩に下げ て弾いてる時もあります。)

Q.今後の活動予定は? 今後の活動の抱負や夢とかありますか?

A. 僕は今年になって[都市部荒野実存表現主義]と題してのライブシリーズを、それにふ さわしい高円寺の無力無善寺で始めたんですが、これは先に言った意味での今のTO KYOのリアルさの中での表現主義をやってこうという企画です。尾上祐一(自作エ レキ楽器)、モリシゲヤスムネ(vc)、今西徳之(cl)、臼井康浩(eg)、中溝俊 哉(p/ob) をはじめとする同世代の筋の通った即興演奏家との交流は、これまでの活 動で得た大き財産で、JA.BRECでの動きや音響自動書記を基盤としたソロ活動とともに 継続していきたいと願っています。佐藤はソウルのリアルさの中に身をおいて、[ブルガサリ]というライブシリーズを精力的に行き着くとこまでやっていくと思います ね。今、JABRECの活動の中心におかれてる感じの、八木橋+佐藤+ヒゴヒロシ での即興実験バンドは、メンバーをそろえられる状況があれば、少しでも多くやりた いですね。まだどう変わっていくかやってる僕らもわからないサウンドです。ヒゴ氏 のキャラが大きいんですが、終わってからいつも不明瞭な予感のようなものが残され てるんですよ。 ( 都市部荒野実存表現主義 >> )

9月には京都と名古屋でベースの國仲勝男氏とのツアーを行いました。國仲氏の太くて独特のドライブ感をもったベースは、かつての山下洋輔のユニットの頃 と本質が全く変わらないですね。昨年日韓ツアーを行ったフィル ミントン氏との新 たなツアーを来春に約束していて、これをお互い楽しみにしています。好評だった ワークショップも継続します。ミントン氏は、音楽にとって何が重要かを考えさせて くれる人間的にも表現者としても実に深い演奏家です。 ( Phil Minton  >>  )

Q.じゃぱのいず.ねっとの感想、じゃぱのいず.ねっとに望む事など ありましたら。

A.最初、検索かどこかのリンクで偶然たどり着いたんだったような記憶があるんだけど。告白すると実はほとんどノイズのことは知らないんですよ。ジャパノイズって粋 なシャレ考えてるサイトがあるなと最初思ったぐらい知らない。おそらくCDも一枚も 持ってません。ようは、このサイトにただよう妙な自由さがよくって結構見るように なった訳です。今のニッポン都市部のリアリティを受けてこそ成り立つ面白さがあるなと感じてます。この線は僕のフィーリングに合ってるんですよ。ジャパノイズと 言っておきながら、実際はあまりそのジャンル志向が見えてこないところにこのサイ トのいいところがあると思ってます。

ジャズとかロックとかクラシックとかのジャンルは、形式としてののっぴきならない 必然があるけど、インプロもノイズもそうした区分と同一線上にはもともと無いです からね。インプロに限って言うと、それはジャズにもロックにもクラシックにも始め から内的に存在している。というよりそこから進展した表現の可能性を総称している だけ。(まあ、そっちに行っちゃうキャラクターの傾向みたいなのはあるかもしれま せんが。) 全てをインプロで行うと言う発想に独自性があるということで、それを独 立した分野と考えなくてもいい。というか、考えなくて十分やってける。[ノイズ という手口] も同じ匂いがしますね。僕としては、せっかくだから、出来るだけ詳し くならないようにしようと思ってますよ。インプロは結局詳しくなっちゃった部分も あるんで、なるべく理解が後退するような開口部を作ろうと努力してます。まあ、 やってることを説明する時、インプロとかノイズとか言ってる自分もあるんですけど も(笑)。(了)                       (2003.10. 18UP)

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JABREC ART MUSIC/渦巻ける手のひらの内側の庭園  

インプロヴィゼイション・ノイズミュージックとアートの境界を大胆に越境するJABREC ART MUSICの即興演奏を集めた音源。参加ミュージシャン:八木橋司(Alt Sax/Voice/音響自動書記) 、 佐藤行衛(EG/Elec-goods), モリシゲヤスムネ(Cello/Voice)。 The swirling garden inside a palm : Yagihashi Tsukasa(as/voice/sound-automatism) > Sato Yukie(eg/elec-goods) > Morishige Yasumune(vc/voice) 。2002 年7月23日、西荻窪ビンスパークでのライブ演奏を収録。 (Cdr)